披荊斬棘の聖石
歴史を切り開く新たな発見は、思いがけない場所から生まれることがある。
そんな突飛な閃きが、
これまでにも多くの発明となって人類に光を灯してきた。
今回はとある鍛冶職人からの依頼だ。
刀を作るのにふさわしい素材を探しているらしいのだが、
とある文献を読んでいくと、そのまた昔「漬物石」から
聖なる力を持つ刀剣を作り出したという記録を発見した。
なんでも、実はその漬物石は「隕石」だったようで鉱物を豊富に
含むことから「聖なる石」として崇められるようになったという。
しかし、その噂を聞きつけた民衆が、聖なる石を血眼になって
探し始めたため、混乱を
避けるべく、一時的にとある蔵の入口に
石を隠し、その場所を記した手がかりを残したのだった。
時は経ち、混乱は収まったが、当時のことを知る者はいなくなり、
暗号の解読は困難を極めた。
そこで、なんとかして暗号を解読してほしいと、トレジャーハンター協会に
依頼が来たということだ。何とか聖なる石を見つけ出して欲しい。
今回の暗号はこの1枚だけのようです。
まずはこの手がかりの中から得られる情報を整理してみましょう。
手がかりの中で気になる情報は以下の3点です。
①「4/20」という数字
②「不惑ー志学」
③「××、×××、×○○」
これらの情報をもとに宝のありかを導き出していきましょう。
着手しやすいのは具体的な言葉の記されている
②「不惑ー志学」
でしょう。まずはこれらについて考えていきましょう。
「不惑」も「志学」もどちらも孔子の「論語」の中で記されている言葉でした。
それぞれ「不惑」は40歳、「志学」は15歳を表す言葉のようです。
とすると、間の棒線は「引き算」を表していると仮説を立てることができそうです。
40ー15=25
ということで、25という数字が導き出されました。
さて、先ほどの「不惑」「志学」という言葉から、どうやら孔子の論語がこの暗号には関係しているのではないかと推測できそうです。
そこで、論語について調べてみると論語は漢文で記されており、20篇という情報も出てくることから、①「4/20」の分母20というのはここと関係がありそうです。
では、20篇のうちの4番目「里仁篇」を実際に見てみましょう。
「4/20」が示す里仁篇の25章の白文を探してみると
「子曰、徳不孤、必有鄰」
という一節にたどり着くことができます。
暗号に記されている文字数とも一致します。
つまり○の部分に対応する言葉は「有鄰」であることがわかります。
最初の文章の中で「とある蔵の入り口」と書かれていたためこの2つの情報をもとに検索してみると群馬県に「有鄰館」という場所が見つかりました。
読んでいくとここは古くから、酒や味噌、醤油を醸造するための蔵だったようで、この場所にある可能性が高そうです。
実際に行ってみると、蔵の入り口のところに樽があり、その中に隕石と思われる貴重な石が保管されていました。
この隕石を見つけることができれば今回のミッションクリアとなります。
ミッションのタイトル「披荊斬棘(ひけいざんきょく)」は「大きな困難を克服しながら前進していくこと」という意味を持つ四字熟語です。
今回宝を設置させていただいた「有鄰館」様は古くから醸造を営む蔵です。
醸造について調べていく中で、かつて漬物石として使われていた石が隕石であることがわかり、そこに霊力を見出して刀剣に使われるようになったという情報にたどり着いたことから、今回の設定が生まれました。
世界的な災禍に見舞われてはや2年が経ちましたが、世界は少しずつかつての平穏を取り戻そうと前へと進んでいっているように感じます。
困難な状況を突破するためのきっかけは、既に見聞きしている身近にあるものなのかもしれません。
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