Takarush Extreme Club
Select Mission vol.19

Mission 内容

宝歌

今回は大学卒業を控え、将来に悩むとある青年からの依頼だ。

ある日家の荷物を整理していたところ、奇妙な絵が描かれた紙を見つけたのだという。
紙の裏には「平成二十三年」と書かれているのだが、ほんの十数年ほど前に書かれたものだと考えるには、
絵の内容があまりにも荒唐無稽なのだという。そんな絵の中から彼が唯一読み取れた内容は、その絵が示す場所に、「宝歌」という物が隠されているということであった。

青年はその「宝歌」という文字を目にし、地元に残って実家を継ぐか、思い切って都会で新たな仕事に就くか悩んでいる彼の背中を押すものになるものではないかと感じたそうで、どうしてもその紙の真相を突き止めてみたいのだという。

なお我々の事前調査の結果、この紙は彼以外にも、同地域に住む何名かの住民からも
「見たことがある」「持っていた」という情報が集められており、平成23年当時、
この地域の不特定多数の家庭に配られていた紙なのではないかと推測されている。

紙に書いてある暗号を解き明かし、
宝歌がある場所を特定したら、実際に写真を撮影して報告せよ。

それでは、君たちの健闘を祈る。



解き方 ①

とっかかりは複数ありますが、まずは絵の全体像から大まかな場所を予想することができました。

「頂」という文字、左に行くにつれて少し傾く地面、羽根があって飛び立とうとしている人、背景に描かれた雲、「九三三+十」という数字。以上の要素から、標高の高い場所・山の頂上などではないかと考えられます。

解き方 ②

ざっくり山だということがわかれば、山に絞って情報を検索していくことで行先がわかりました。

例えば「九三三+十」に注目し、「十」のフォントが微妙に違うことから、「933+10」を表していることがわかれば、933が標高だと仮定し、「933m 山」と検索することでいくつかの山がヒットします。更に「未来現在過去」に注目し、「未来現在過去 頂上」などと検索すると、またいくつかの山がヒットします。そのどちらの検索にも共通して出てくるのは「長野県安曇野市の長峰山」でした。標高933mの長峰山の頂上には、「未来現在過去」を表す「10m」の「歴史の塔」というモニュメントがあることがわかり、「933+10」に一致します。更に長峰山の頂上にはパラグライダーの離陸点があり、「羽根が生えた人」のイラストとも一致します。更に、縦書きの文章にあった「歴史を超えて」という表現も、「歴史の塔」とつながります。よって行先は長峰山であることが確定しました。

解き方 ③

行先は長峰山だとわかりましたが、宝歌はどこにあったのでしょうか。

縦書きの文章「歴史を超えて 歌い継がれる 頂にあり 宝歌」を見ると、「頂」の文字だけが赤字になっています。これは単純に「長峰山の頂」のどこかに宝歌があるという意味もありますが、この絵の位置関係で考えたときに、まさに「頂」と書いている場所に宝歌が隠されているというダブルミーニングになっていました。

長峰山の頂上の様子と、謎の絵を照らし合わせ、左手にパラグライダーの離陸点(羽根が生えた人)、真ん中に歴史の塔(未来現在過去)が来るとき、右手の「歴史を超えて 歌い継がれる 頂にあり 宝歌」の句の部分に来るのは「長峰山展望台」であることがわかりました。

展望台の高さは「歴史の塔」の高さより少し大きく、句の長さが「未来現在過去」の文字の長さより少しだけ長いのも、「歴史の塔」と展望台の高さの違いを示唆していました。

更に、謎の裏面に書かれた「平成二十三年」ですが、展望台を訪れてみると、「平成23年」に建てられたという記載があり、そこも繋がりました。

展望台の頂上の柱に宝歌が刻まれた板が隠されており、それを写真に収める事でクリアとなりました。

あとがき

見つかった宝歌には、「安曇野愛を 唄い踊りて 継ぐ人々が 宝なり」「榛葉」と刻まれていました。

「榛葉(本名:榛葉太生)」とは、安曇野に古くから伝わる民謡を集めて編曲した新民謡「安曇節(あずみぶし)」を完成させた人物であります。
安曇節は、「七・七・七・五」の歌詞を基調とし、北アルプスのふもとに広がる安曇野の田園風景、人々の生活を唄と踊りによって表現するという特徴があります。
今回の謎に書かれていた「歴史を超えて 歌い継がれる 頂にあり 宝歌」も、最後に見つかった榛葉の歌「安曇野愛を 唄い踊りて 継ぐ人々が 宝なり」も、どちらも「七・七・七・五」のリズムの安曇節の一首だったのです。

宝歌の正体は、安曇節の生みの親:榛葉が詠んだ、「安曇野の伝統を守り、愛してくれる人々こそ宝物だ」という意味の歌そのものでした。
今回の謎の紙は、長峰山の展望台が平成23年に建てられたことを記念するとともに、改めて現代の安曇野の人たちに「安曇野の自然の美しさ」「安曇節の奥深さ」を知って
「郷土愛」を持ってもらうために、安曇節保存会によって作られ、地域一帯の家庭に配られたという設定でした。
最近でも定期的に、安曇節作詞実行委員会により安曇節コンテストが開かれているので、ぜひ気になった方は自作の歌を投稿してみてはいかがでしょうか。

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